日本では、冠婚葬祭、どんなシチュエーションでも贈られる花として定番の「胡蝶蘭」。
花の色や本立てによって微妙に意味合いの違いは出ますが、基本的に純白の三本立てあたりを贈っておけば、どのような状況でも相手に礼を失することなく、喜ばれます。バラなどもそうですが、そうした高貴な花を贈られることは、一種のステータスでもあります。
しかし――では、海外ではどうなのでしょうか? 海外では胡蝶蘭はどのように考えられているのでしょうか。結論から言うと、海外でも、胡蝶蘭は、ギフトに喜ばれる花です。
“蛾のようなヴィーナス”という意味の胡蝶蘭
胡蝶蘭の学名は、「Phalaenopsis aphrodite(ファレノプシス アフロディテ)」です。
「Phalaenopsis」とは、ギリシャ語で「蛾」という意味の「Phalaina」に「似ている」という意味の「opsis」を組み合わせたものです。そして、「aphrodite」は、やはりギリシャの、女神の名前。ローマ神話で「ヴィーナス」と呼ばれ、日本でもその呼び名はよく知られていますね。すなわち――胡蝶蘭の学名は、“蛾のようなヴィーナス”というわけです。
これは何やら、日本語での「胡蝶蘭」とは、蛾と蝶で、まったく似て非なるもの、真逆のような言い方にも感じられますが…。実は、胡蝶蘭の原種の9割は、今のように美しく整ったものではありませんでした。茶色っぽいものや、シミのある花も多く、まさしく蛾のよう――それが品種改良されて、だんだんと今のような姿になっていったのです。
よって、大振りで存在感ある見た目ではあるけれど、蛾のような雰囲気である、という胡蝶蘭の学名は、むしろ原種を見たままそう呼ぶに忠実なものであったとも考えられます。
また、そのようないわくある学名も、あくまで学名です。今、一般的の諸外国では、胡蝶蘭を「Phalaenopsis(ファレノプシス)」と呼んでいます。あえて覚えるなら、こちらを覚えておくとよいでしょう。
胡蝶蘭の海外での位置づけ
「ファレノプシス」、すなわち今「胡蝶蘭」と呼ばれている蘭が最初に見つかったのは、1831年のこと。赤道付近の東南アジアの地域で見つかり、一部の種のみがイギリスで観賞用に持ち出されました。そして、かの地で交配が進み、日本に入ってきたのが明治時代のことです。
それからの日本での胡蝶蘭の歩みはよく知られている通りですが、では、海外ではどうだったのでしょうか?
最初からイギリスでは貴族の観賞用の花とされていた流れで、海外でも胡蝶蘭は、たいへん縁起のいい花として扱われています。やはり日本と同様に、お祝い事などに贈られる花です。花言葉も、日本では「幸福が飛んでくる」など縁起のいいものばかりですが、やはり海外でも同様に、「「love(愛)」「beauty(美)」「refinement(優雅)」といった良い意味の花言葉がいろいろとついています。
その位置づけについては、日本とほとんどまったく変わらないと考えていいでしょう。よく想像されるように、パーティーやお祝いの場を、胡蝶蘭の存在が華やかにしています。
しかし、日本では白い胡蝶蘭が気品ある控えめなものとして喜ばれる一方で、海外ではその色については、実は、白よりもカラフルなカラーの方が人気は高いようです。ピンクや黄色、主張のある赤リップなど――。
海外でも喜ばれる花であることは間違いない胡蝶蘭ですが、実際、海外のどなたかに贈るときには、色のチョイスに関しては、カラフルな色を選ぶ方が喜ばれるかもしれません。
どの国で胡蝶蘭は特に喜ばれるのか
胡蝶蘭は海外でもお祝い事に定番の花ですが、必ずしも、あまり特別な扱いを受けない国もあります。たとえば、オーストラリアなど、栽培農家が多く、胡蝶蘭もごく一般的な花である国では、ギフトとして贈っても、あまり嬉しいと思われるものではないようです。
またベトナムやマレーシアなどの土地は、熱帯であり、胡蝶蘭がもともと育てやすい土地柄であることから、安く生産できるので、日本から贈っても、やはり「?」という感じ。
つまり、胡蝶蘭の存在があまり一般的でない国、通常は栽培されていない国に贈れば喜ばれるわけで、その具体的な例を挙げると、アメリカ、ヨーロッパ諸国、中国、といったところです。このあたりの国では、輸入の関係で原産地から買うと高く、また「日本の胡蝶蘭は高品質で素晴らしい」というブランドイメージもあり、日本から贈ると喜ばれます。
そのための、つまり海外に胡蝶蘭を贈るためのサイトも、実際、いくつもあるようです。
海外配送をしているお店やサイトでは、相手の国の胡蝶蘭の事情もよく知っています。カラーや本立てなどでわからないことがあれば、相談してみれば、間違いのない選択ができるでしょう。
以上、海外での胡蝶蘭の取り扱いについてでした。縁起のいい花という扱いは同じなのですが、白よりもカラフルな色が好まれるというのは、あまり知られていないことだったのでは? 海外に贈るときには、せっかくなので、ちょっと色でも冒険してみたいですね。