胡蝶蘭には害虫がついてしまうこともあります。駆除して、花を長持ちさせましょう。
■胡蝶蘭についてしまった害虫の駆除
◎カイガラ虫の駆除
胡蝶蘭にとって、非常に厄介な害虫の一つ、カイガラ虫。空気感染するので、ある程度は防ぎようがありません。養分・水分を吸い取り、みるみる胡蝶蘭を弱らせてしまいます。
駆除するための方法としては、カイガラ虫に効き目のある薬品を散布するしかありません。一度発生するとなかなか根絶しにくいので、何度か散布してあげてください。胡蝶蘭にとって害が出にくい、「スプラサイト」や「オリオン」といった薬が推奨されます。
カイガラ虫とほとんど同様の、コナカイガラ虫という、白いふわふわとした(成虫はワラジ型)害虫がいます。これが根に寄生したら、「オリオン」で駆除。「スプラサイト」は薬害で根を死なせる危険があるので、両方の害虫がついたら、「オリオン」が最適です。
◎ハダニの駆除
梅雨明け~8月までという、高温で、乾燥した時期に発生しやすいハダニ。特に注意したいのはその時期ですが、胡蝶蘭にとっての快適な環境は、ハダニにとっても同じなので、年中発生するリスクがあります。
胡蝶蘭の葉の裏側がべたついたり、白い班が見られたら、ハダニのいるサインです。
予防法としては、乾燥しがちな時期にはこまめに霧吹きで水をやること。もし発生した場合には、ハダニのいるところにだけ、「ケルセン乳剤」「テルスター」など散布します。
◎スリップスの駆除
別名アザミウマ。スリップスは、高温で乾燥した時期によく発生する害虫です。寄生する箇所は、胡蝶蘭の花や蕾。花弁の縁が黄色く変色したら、スリップスがいるという意味です。発生した場合、「アドマイヤー・アセフェート水和剤(オルトラン)」で防除します。
◎アブラムシの駆除
一般的にもよく聞かれる害虫です。花・蕾・花茎の先端に寄生して、蕾を落としたり、花を開かせなくします。見つけた場合には、即駆除です。「テルスター」「オリオン」、または「アドマイヤー」を使うのがいいでしょう。
予防法としては、アブラムシが“光る物を嫌う”という性質を利用し、胡蝶蘭を設置する際に「アルミホイルを鉢の下に敷く」という方法も効果があります。
その他、梅雨時のナメクジなどもいますが、発生しやすいのは以上のような害虫です。
■コバエとテントウムシは益虫?
どんな植物にもつきものですが、胡蝶蘭にもしばしば、コバエが発生します。
しかし、コバエについては害虫とする考え方と、特に害はないとする説があります。中には胡蝶蘭の蕾を食べる種もいるのですが、基本的にコバエは胡蝶蘭に悪さをしないとか。
むしろコバエを益虫と考えることもできるかもしれません。というのも、コバエは腐った根から発生しやすいので、コバエが出ているということは、あるいは根が腐り始めているサインかも…。コバエが発生しているなら、植え替えを考えるべきなのかもしれません。
テントウムシについても、胡蝶蘭には害がありません。テントウムシはカイガラムシやアブラムシという上でも触れた害虫を食べてくれるので、益虫とも言えるでしょう。しかし多く発生している場合には、それだけ害虫が多いというサインなので、対策が必要です。
■胡蝶蘭に虫をつけないための5つの方法
害虫でも益虫でも、きれいな胡蝶蘭に虫がついてしまうのは、避けたいところです。
胡蝶蘭に虫を寄せ付けないためには、次の5つのポイントに注意しなければなりません。
1)通気の良い場所に設置する
胡蝶蘭は空気が淀んでいる場所が苦手です。風通しが良い場所に設置してやると、長持ちします。また通気が良いと、寄生しようとする虫も、留まることができなくなります。
2)間接的に日が当たる日陰におく
直射日光は胡蝶蘭の大敵です。葉が焼けると、そこから害虫が発生します。間接的に日光が当たる日陰に設置してやりましょう。遮光率の高いレースカーテンの傍などが適します。
3)温度を15度~25度で保つ
熱帯植物である胡蝶蘭は、暖かいところが好きです。そして寒さには弱いという特徴があります。寒いと抵抗力が弱り、虫が涌きやすいので、ご注意を。胡蝶蘭の生育の適温は大体15度~25度です。室温はそれくらいに保ってあげてください。
4)水やりしすぎない
胡蝶蘭は根腐れしやすく、そこからコバエなどの害虫が発生し、また株が弱ると抵抗力が落ちてその他の害虫もつきやすくなります。そのため、水やりは「少し」で。頻度は少なめに、大体5日~10日に1回くらいで問題ありません。“根っこは乾かし気味”の方が、実は胡蝶蘭は長持ちします。
5)葉にも水を定期的にやる
胡蝶蘭の大きな葉は、霧吹きで表と裏にちょっと水をかけてやるだけで元気になり、長く艶が持続します。また乾燥を好むハダニなどの虫がつくのも予防できます。根への水やりは少なめでOKですが、葉水は、できるだけこまめにしてやりましょう。