その場に飾られているだけで、場を華やがせてしまう存在感ある花、胡蝶蘭。
2017年、久々に日本出身の横綱が誕生したときにも、その昇進伝達式にも、真っ白な胡蝶蘭が飾られていました。金屏風に見事にマッチした胡蝶蘭は、場の雰囲気を、いっそう格調高いものにしていました。このように今では、日本のお祝い事と、切っても切れない文化的な縁にもある胡蝶蘭です。
そんな、ただでさえ素晴らしい花ですが、もし今後贈ることがあるなら(あるいは個人利用することがあるなら)、せっかくなら良い胡蝶蘭を選びたいところです。ネットで注文する際には、ある程度は業者に委ねるしかありませんが、胡蝶蘭を扱う花屋さんで直接見て選ぶなら、どのようなポイントを重視すればいいのでしょうか。
胡蝶蘭を選ぶときに見るべきポイント
個人利用の場合ならば、問題となるのは、育てやすさや飾りやすさといった部分です。
しかし、多くの方はお祝いの用のギフトとして胡蝶蘭を考えているでしょう。開業祝いや就任祝いなど、お悔やみ以外の、割合一般的なケースで胡蝶蘭を贈る際には、やはり「大きさ」「見た目の美しさ」が見るべき点となります。
とはいえ、そう言われても素人には「?」という感じですね。
どうやらプロは、具体的に次のような点で胡蝶蘭の良い・悪いを見極めているようです。
◎「良い胡蝶蘭」とは
花:花弁にはり・厚みがある
葉:艶・はりがある
茎:太くて弾力があり、根本から先端までまっすぐに伸びている。
苗:国内一貫生。国産の苗をいちから育てたものは風土に合っていて花が長持ちする。
ざっと挙げると、大体以上のような4点になります。
中でも何も知らない人がお店で選ぶ場合には、花と茎を見るようにすればいいと言われます。花の色は、発色が良く、くすみがないものが理想的です。さらに、もっと近寄って見て、花弁の際の部分までしっかりと厚みがあるなら、しっかりと育てられている証です。
さらに咲いている花だけでなく、蕾の数も見えておきましょう。開店祝いなどでは、オープンからしばらく置かれることになるので、開花も楽しめるように、蕾の数が多い胡蝶蘭が好まれます。パーティーや式伝は、蕾が少ない、満開に近い胡蝶蘭がベストでしょう。
茎については、太くてしっかりしていて、かつ、「色の濃い」ものが良いとされます。そして花がきちんと正面を向くように咲いていれば、まずどこに出しても恥ずかしくない胡蝶蘭と言えるでしょう。
通販で贈る際にはリクエストを伝える
今は何でもネット通販の時代で、胡蝶蘭もネットで買って贈ることができます。立札やメッセージも入れられて、しかも安価です。便利なので、つい何も考えずに使ってしまいがちですが、やはり大事なイベントに贈るものなので、こちらの意図ははっきりと伝えたいところです。
メールや電話で購入する場合には、贈る場面がどのようなシチュエーションなのか、販売業者に伝えて、ある程度はリクエストを言ってもいいでしょう。たとえば、「開店祝いなので、蕾が多く残っているものをお願いします」――など。
品質の良い苗がすべてを決める
ネットで胡蝶蘭を注文するときには、現物を見られるわけではないので、ある程度自分のイメージとのずれはあるかもしれません。それがすなわち「悪い胡蝶蘭」というわけでもなく、お店もプロとしてシチュエーションを弁えたチョイスをしてくれますが、それでもすべてが理想的というわけにはいかないでしょう。これはもう、お店そのものの質にもよります。
そこで一点、注文する前に、必ずお店選びでこだわりたい点があります。それは、「苗の品質」です。上にも触れた通り、苗は、国産一貫生が一番です。最初から日本の空気を吸って、1年~2年という歳月をかけて育った胡蝶蘭は、やはり、海外から輸入されたものと違って、日本の雰囲気に合った見栄えとなり、花持ちもまったく違います。
胡蝶蘭の栽培農家も、こだわりが強いところは、苗の仕入れから細かい部分までしっかりと見ます。そして、出荷する頃になって。もし茎の弱いものがあれば、心を鬼にして処分することもあるのだとか。というのも、出荷するトラックの中で折れてしまったり、萎えてしまったりすることがあるのだそうで――。
現状、胡蝶蘭の栽培農家、すなわち生産者から直接胡蝶蘭を買うことは、あまり一般的ではありません。ネット通販をしている業者は、生産者と繋がっている、いわば代理店が多いようです。とはいえ、その代理店も胡蝶蘭の在庫を持つことはなく、栽培農家と緊密な関係を築いて、注文から出荷の流れまでを管理しています。そのため栽培農家の代理店から購入するからと言って、胡蝶蘭そのものの品質が落ちるわけではないので、そこは無用に心配することはありません。
繰り返しになりますが、大事なのは、苗の品質です。贈る場合には、苗が国内産か、そうでない場合はどこなのか、明記しているサイトを選べば安心だと言えます。