胡蝶蘭は洋ランの品種の1つであり、カトレヤやデンドロビウムなど世界ではたくさんの洋ラン品種が栽培されています。
洋ラン鑑賞が本格化したのは19世紀のイギリスで、以降世界中に愛好家が増加しました。
現在では世界各地で品種改良され、栽培家が育てた自慢の蘭を披露する展覧会や審査会が開催されています。
多くは一般観覧も可能で、さながら蘭のお祭りの様相です。
ここでは代表的な世界の蘭に関連するイベントを紹介します。
洋ラン栽培の歴史が深いヨーロッパでは世界のトレンドが集まるフラワーショーが開催される
イギリス国民は大のガーデニング好きとして知られています。
ロンドンでは毎年、「チェルシーフラワーショー」という一大園芸イベントが開催され、世界中から集められたさまざまな品種の花を見ることができます。チケットは毎年入手困難といわれるほどの人気イベントです。
ショーでは庭師たちが庭作りの芸術性を競うショーガーデン部門や、花を観賞するパビリオンなど、いろいろと趣向を凝らした展示が楽しめます。
イギリスではカトレアという品種をはじめ洋ランの人気が高く、展示の花形です。毎年たくさんの品種が豪華に飾られています。
イギリスではほかにも、「North of England Orchid Show」 などのイベントが各地で開催されています。
またオランダには、「フロリアード」という世界最大規模の園芸博覧会があります。開催されるのは10年に1度だけと非常にレアなイベントです。
このイベントには世界中から花が集められますが、日本からも多数の園芸家が花を出展し、その美しさを競っています。
2012年のフェンロ―国際園芸博覧会では、日本からの胡蝶蘭が金賞を受賞しました。
オランダはチューリップをイメージする方も多いですが、そのほかの花の栽培も盛んです。
毎年春にはノールドワイクという町でフラワーパレードが開催されるなど、花好きなら見逃せないイベントが盛りだくさんです。
さまざまな国で開催される世界蘭会議と日本の蘭祭り
フロリアード、チェルシーフラワーショーと並ぶ世界的な花のイベントが「世界蘭会議」です。
開催は3年に1度、オリンピックのように開催国を変えながら行われています。
2017年にはエクアドルで開催されました。元々、蘭は赤道近くの熱帯地域で生育していた花です。
さかのぼること2009年には、エクアドルで世界最小の新種の蘭が発見されていて、ゆかりの深い地での開催となりました。
2020年大会は台湾で開催となります。
世界蘭会議は1987年に日本で開催されたこともあります。
そのときの大成功がきっかけとなって、「世界らん展日本大賞」が毎年東京ドームで開催されることとなりました。
第28回目となった2018年の世界らん展は、南国をテーマに、アフリカの蘭を展示したり、著名なフラワーアーティストの作品を展示したりしました。
南国といえば、「沖縄国際洋蘭博覧会」も、大規模な蘭の展示会として知られています。
入館料以外は全て無料で、スタンプラリーやコサージュづくりなどの体験型コーナーも用意され、子供を連れて行っても楽しめるよう工夫されています。
もちろん蘭の展示も豊富で約2万点という規模を誇ります。内閣総理大臣賞受賞の蘭の展示もあり、愛好家必見のメインイベントとなっています。
そのほかに、長崎県のハウステンボスでは「大胡蝶蘭展」と題したイベントが2017年12月~2018年2月にかけて開催されました。
国内最多200品種の展示、珍しい品種の展示などで愛好家の注目を集めました。
アメリカのオーキッド・ショーは多種多彩
最後にアメリカの蘭のお祭りを紹介します。
アメリカ大陸の中南部は元来、蘭が自生していて、野生の原種があまたあるといいます。
そんな環境からか、実はアメリカはヨーロッパや日本に負けないくらい蘭の愛好家が多い国です。
胡蝶蘭も日本同様、祝い花やギフト向けの花として人気が高く、蘭産業も盛ん。蘭にかかわる協会も全米に数多くあり、ショーや展示会、お祭りも多数開催されています。
カリフォルニア州で行われるサンタバーバラ国際オーキッド・ショーは、アメリカ国内でも長い歴史と大きな規模を誇るイベントです。
蘭の栽培家たちが花を持ち寄るだけでなく、芸術的な写真の展示やフラワーアレンジメントなどが毎年のテーマに沿って展示されます。
東海岸へ目を移せば、ニューヨーク植物園で毎年、アメリカ最大規模の「オーキッド・ショー」が開かれています。
春に開催されることから、日本での花見のようにニューヨーカーにとっての季節の風物詩となっています。
胡蝶蘭やオンジジュームなどさまざまな品種を展示するほか、世界的なフラワーアーティストを招いて斬新な展示を展開するなど、クリエイティブな街らしい見せ方でも毎年話題を呼んでいます。
そのほかにも、蘭の生産地でもあるハワイで開催されている「ヒロ・オーキッド・ショー」など、大規模なものからアットホームなもの、アーティスティックなものなどさまざまな蘭のイベントがあります。
鑑賞してよし、買ってよしの蘭フェスティバルへ行ってみよう
珍しい品種や賞に輝くような豪華な蘭を一目見てみたいという人は、ぜひ世界の蘭祭りを訪れてみましょう。
ヨーロッパは花の流通が日本以上に盛んで、花のイベントのスケールもけた違いです。
世界の蘭の価格は日本よりは比較的リーズナブルな傾向にあり、直接花を購入できるイベントでは、豪華なのにお得な蘭に出合える可能性もあるかもしれません。